ネギが好きだ。
誰かが、「この先一生一つの野菜をたべれないとしたらどうか」と問わば、私はオクラと少しは迷うのだけれども、それでもネギと答えたい。
ある日、かけ蕎麦でも作ろうとする。
そこにたっぷりのネギを投下する。
「少しは健康そうぢゃないか」と思うほどネギを投下する。
もちろん、それで健康になるかどうかは知らない。
だが、青々とした輪切りのネギが蕎麦の表面を埋め尽くす光景には、不思議な安心感がある。
もはや蕎麦は脇役で、ネギが主役である。
ラーメンでも同じことをする。
だいたいどこの店にも有料でネギ増しにできるところがある。
無料であれば、なお良いが無料でも有料でもだいたい追加のネギを添える。
運ばれてきた丼とその横に置かれているネギの入った小鉢を見て、「よしよし」と頷く。
誰に対してなのか、自分でも良く分からないが、とにかく頷く。
そうして食べる。
麺の中にシャキシャキとしたネギの心地よい食感が伝わってくる。
ネギの良いところは、出しゃばらないところだ。
玉ねぎのように甘さを主張せず、にんにくほど翌日の心配もない。
それでいて、いるだけで、料理の格が上がったような感じがする。
味噌汁、納豆、豆腐、鍋にも、「お邪魔します」と言って大量に陣地を我が物顔で歩いておきながら、誰からも疎まれていない、実は一番いい席に座っているような野菜だ。
ネギは、贅沢品ではない。
八百屋でも、スーパーでも、だいたい静かに並んでいる。
高級野菜のような顔はしない。
それなのに、薬味になり、炒め物になり、鍋に入り、味噌汁となる。
捨てるところがほとんどない。
以前かりそめ天国か何かで、有吉が好きな野菜にネギと答えていた。
すかさず、マツコがずるいと述べていたが、その通りである。
ネギはずるい。


コメント